謹んで新年のご挨拶を申し上げます。今年も何卒よろしくお願い申し上げます。
さて早いもので、今年は元号が令和に替わって5月で丸4年を迎えます。この間、世界に目を向ければ新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という未曽有の艱難を迎える事になりました。そして、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、世界的な物価高騰に歯止めがかからず、このままだとハイパーインフレの危機に瀕する事が懸念されています。ここで注視しなければならないのは、この物価高騰は果たしてロシアのウクライナ侵攻が原因で起こっているのかという事です。巷では戦時下にあるウクライナの穀物や天然ガスの輸出が滞っている事が物価高騰の引き金になっていると報道されています。しかし、市場を覗いてみると、ありとあらゆる物が高騰してはいるものの、決して不足はしていないという現実を垣間見る事が出来ます。
かつて1970年代にオイルショックが勃発した際、ガソリンは一夜で3倍に引き上げられ、23時以降のTV放映が中止となり、たった1個のトイレットペーパーを巡って主婦同士がつかみ合いの喧嘩をしている映像が流され世の中を震撼させました。しかし、今日、物価は高騰しても、台風が到来する直前にコンビニエンスストアから食料を始め生活必需品がたちまち消えてなくなるような現象は、未だ起こっていません。市場を見ても、一部の人気商品を除いては『入荷待ち』の表示を目にすることはないのです。果たして世界で何が起こっているのでしょうか。
世界経済を取り巻く課題として『4F』があります。①food(食料)・②fuel(燃料)・③finance(金融)そして④fight(軍需)の4つです。そしてもう1つの重要な『F』としてinformationの(情報)の『F』があります。この『4FプラスF』を基軸に世界の動向を見ていくと、ありとあらゆるものに対する判断基準がおのずと変わってくることに気付かされます。ネット上に情報が拡散する中、フェイクニュースと称される嘘の情報も数多く流通しています。『Google先生』に代表される各媒体から発せられる情報は、果たしてどれほど真実なのでしょうか。ロシアのウクライナ侵攻に係る情報や新型コロナウイルスにおける様々な情報はどこまで信じてよいのでしょうか。
かつてCIAの補佐官だったビクター・マーケッティ氏は『情報は新鮮かつ正確でなければならない』というメッセージを残しました。私たちはこの変化にとんだ時代に正しい情報とそうでない情報をその都度見分け、自分自身で適正な判断を下していく必要があります。『ググるだけではカモられる』を念頭に、2023年は自分の考えを以て臨んでみてはいかがでしょうか。
2012年に98歳でこの世を去った稀代稀な音楽評論家・吉田秀和氏が今際の際に残した『そこに自分の考えはあるか』の遺言は、今の時代にこそ生かされる名言です。
合掌
令和五年正月
協同組合 日本柔整総研・日本鍼灸総研
代表理事 成清 圭吾